コラム

7割以上の企業がミドル・シニア人材の採用に積極的だった!【採用担当者1000名に調査】

  • 業界分析

昨今、企業の求人活動においてミドル・シニア人材の採用ニーズが高まっていると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

そこで、株式会社ワクティブでは、企業の中途採用担当者1,000名に対してミドル・シニア層の採用・求人ニーズに関するアンケート調査を実施しました。実際の調査結果をもとに、ミドル・シニアの採用動向をお伝えします。

*ここでは、ミドル・シニア層の定義を45歳~59歳としています。

7割の採用担当者がミドル・シニア人材の採用に積極的

Q1, あなたの勤務先では、45~59歳のミドル・シニア人材の中途採用・求人を今後行っていくと思いますか?

この調査項目では、企業の採用担当者の7割以上が45~59歳までのミドル・シニアの採用・求人を行っていくと回答しています。年齢別の割合を見ていきましょう。

 

「今後もおこなっていくと思う」と回答

今後も採用を行っていくとの回答は、45~49歳の人材に至っては90%を超えました。また、大手企業のボリュームゾーンである50~54歳の採用ニーズは73%、さらに55~59歳は60.7%とここでも過半数を超えています。企業側のミドル・シニアへの旺盛な採用意欲がデータに現れています。

 

「今後おこなうことはない」と回答

45~49歳の人材採用を今後おこなうことはないと明確に答えた割合はたったの0.8%でした。また、50~54歳では8.4%、55~59歳では12.4%と非常に低い数値となっています。平均すると約7%で100人中7人のみとなります。ミドル・シニアの採用にネガティブな考えを持つ企業が少ないことが分かります。

 

「わからない」と回答

今後について、「わからない」と答えたのは45~49歳で8.5%、50~54歳で18.3%、55~59歳で26.9%でした。「わからない」というのは、現状は様子見ということになりますが、今後の「人材動向」「採用方針」次第では、採用を検討するかもしれないという意味合いが含まれます。

 

企業がミドル・シニア人材に求めるニーズで最も多いのは経験と即戦力

Q2、あなたの勤務先では45~59歳の中途社員を採用する際に応募者に期待することは何ですか?

 

経験が豊富 専門性が高い 様々な環境に
適応できる
モラルの高さや
責任感の強さ
幅広い人脈 対人関係
能力が高い
定着が
期待できる
若い人が
採用できない
即戦力になる 若手社員の指導 マネジメントを
任せたい
指定資格を
持っている
意欲が高い その他
1.45~49歳 991 467 340 249 314 169 306 280 110 520 192 190 230 271 7
100.0 47.1 34.3 25.1 31.7 17.1 30.9 28.3 11.1 52.5 19.4 19.2 23.2 27.3 0.7
2.50~54歳 752 364 247 174 242 130 225 197 83 328 141 135 172 168 5
100.0 48.4 32.8 23.1 32.2 17.3 29.9 26.2 11.0 43.6 18.8 18.0 22.9 22.3 0.7
3.55~59歳 633 298 197 123 207 111 181 156 65 247 105 91 136 129 5
100.0 47.1 31.1 19.4 32.7 17.5 28.6 24.6 10.3 39.0 16.6 14.4 21.5 20.4 0.8

この調査結果を見ると、企業がミドル・シニアの人材に期待するのは、「経験」「即戦力」「専門性」の順番でした。また、「人脈」「対人関係」などのビジネス能力についても高い期待値が数値に現れています。

 

経験の豊富さに期待

ミドル・シニア層に期待する要素で最も多かったのが「経験の豊富さ」です。すべての年代でほぼ同水準の47%~48%という結果でした。ミドル・シニアが長年培ってきた「経験」「知識」「人脈」などは、若手の人材には無い強みです。企業にとって、この「ベテランの経験値」に高い期待を寄せていることが分かります。

 

即戦力・専門性への期待

次に多かったのが「即戦力」さらには「専門性」でした。変化が激しい現在のマーケットにおいては、教育コストをかけずに即戦力として働いてくれる人材は貴重です。高い専門知識を持ち、すぐに戦力として計算できるミドル・シニアを雇い入れるメリットは大きいと企業は考えているようです。

 

ポータブルスキルに期待

調査結果全体を通してミドル・シニアに求められる項目で多いのはポータブルスキルと呼ばれる、対人関係、責任感、高い意欲などのビジネス能力です。業務遂行能力や安定した仕事ぶりについては、若手の人材よりも高く評価されやすいポイントだと言えるでしょう。

 

定着が期待できる

昨今、人材採用コストが上昇する中で社員の定着率の高さは企業にとっては大きな魅力です。ミドル・シニア世代は、一度転職すると、その後はじっくりと腰を落ち着けて仕事に取り組む傾向があります。これは離職率が高い若手人材には無い特徴ということが言えます。

 

若手社員の指導係として期待

企業の中には、中堅層の人材不足により“現場の空洞化”に悩むケースがよく聞かれます。新人・若手に対して「先輩社員から知識・経験が伝承されない」「十分な社員教育ができない」ことにより、現場の弱体化が進むことがあります。これを克服するために、「若手社員の指導係」として、ミドル・シニアを採用したいという企業ニーズがあります。

 

ミドル・シニアの採用職種は営業職が最もニーズが高い

Q3、あなたの勤務先では45~59歳の中途社員を採用する際にはどのような職種で採用しますか?

管理職・
エグゼクティブ
営業 管理系
(財務・会計・経理)
管理系
(総務・人事)
管理系
(法務・コンプライアンス)
企画系
(経営戦略・事業開発・マーケティング)
資材・購買 技術系
(ソフトウェア、ネットワーク、社内情報システム系)
技術系
(電気、電子、機械)
技術系
(素材、食品、メディカル)
技術系
(建築、土木)
製造
(工場など生産現場)
運輸・配送・倉庫 サービス・販売系 リエイティブ系 マンション管理
警備
設備
福祉サービス
医療関連
テレマ
カスタマーサービ
建設/建築従事者・職ス
コンサルタント その他:
1.45~49歳 991 166 220 135 141 106 114 61 129 128 74 121 146 138 149 55 78 122 50 79 79 36
100.0 16.8 22.2 13.6 14.2 10.7 11.5 6.2 13.0 12.9 7.5 12.2 14.7 13.9 15.0 5.5 7.9 12.3 5.0 8.0 8.0 3.6
2.50~54歳 752 118 138 100 95 72 61 39 75 87 53 86 104 106 111 26 72 107 26 69 46 30
100.0 15.7 18.4 13.3 12.6 9.6 8.1 5.2 10.0 11.6 7.0 11.4 13.8 14.1 14.8 3.5 9.6 14.2 3.5 9.2 6.1 4.0
3.55~59歳 633 85 97 75 65 63 50 32 54 59 36 72 86 79 93 22 64 85 15 49 38 28
100.0 13.4 15.3 11.8 10.3 10.0 7.9 5.1 8.5 9.3 5.7 11.4 13.6 12.5 14.7 3.5 10.1 13.4 2.4 7.7 6.0 4.4

職種別の採用ニーズの調査結果を見ていくと、やはりミドル・シニア人材ならではの、知識・経験・専門性などを求める傾向が強いことが分かります。人気が高かった職種をピックアップして見ていきましょう。

 

営業

ミドル・シニアの採用意欲で最も高かった職種は「営業」(45~49歳22.2%、50~54歳18.4%、55~59歳15.3%)でした。「ベテラン営業マン」という言葉がありますが、営業は人間力含め総合的な仕事力が問われる職種です。企業側は経験を積んだミドル・シニアが持つ対人能力・人脈などに対して高い期待値を持っていることが伺えます。

 

福祉サービス/マンション管理・警備

次に積極的な採用ニーズがあるのが「福祉サービス」「マンション管理・警備」です。これらの職種は若年層の担い手が少ないせいもあってか、特にシニア世代(55~59歳)の採用ニーズが高くなる傾向があるようです。これは、「運輸・配送」などの職種にも同様のことが言えます。

 

サービス・販売系

サービス・販売系は、全世代で平均すると約15%もの担当者が採用したい人材としてあげました。ファミレス・ファストフード・コンビニなどのサービス・販売業では、人材不足も相まって、シニア人材の採用に積極的です。他にも店舗で物販やサービスを提供する企業は、顧客対応・接客業務において、きめ細やかな対応ができるベテラン人材を戦力として重視しています。

 

技術系・製造

技術系や製造などもミドル・シニアの求人ニーズが高いことが分かります。モノづくり・開発の現場では、同業種で長年経験を積んだ技術に明るい人材は必要不可欠なため重宝されます。また、一方で未経験でも就業可能な工場などの製造現場においては、労働者不足から年齢問わず高い採用ニーズがあります。

 

管理・エグゼクティブ

管理職経験者、エグゼクティブ人材を採用したいというニーズは全世代で平均すると約15%もありました。これまでビジネスの一線で活躍してきた人材を雇用することで「組織を立て直したい」「競合会社のノウハウを取り入れたい」という、企業ニーズは多いようです。

 

ミドル・シニア人材の中途社員採用ニーズの高まり

Q4、あなたの勤務先における45~59歳の中途社員の採用について、最もあてはまるものをお選びください。

この調査結果では、今後のミドル・シニア人材の採用は「今までと変わらず採用」が48.6%、「今後も増える見込み」が22.5%でした。なんと7割以上の企業担当者がミドル・シニア人材を積極採用していきたいと回答しており、「減らしていく見込み」の7.5%を大きく上回る結果となりました。今後、ますます、ベテラン人材の採用・求人ニーズは高まっていくことでしょう。

 

まとめ

かつて、転職市場では求人・採用ニーズが少なかったミドル・シニア世代でしたが、時代は変わり、現在では企業側も貴重な労働力として、積極的に採用を検討していることが調査結果を通してご理解いただけたと思います。

 

人材採用がうまくいかずにお困りの人事ご担当者の方は、ミドル・シニアの人材採用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。