アフターコロナ・ウィズコロナ時代の働き方を考える~リモートワーク制度・在宅勤務制度は継続されるのか~
- 業界分析
1. コロナウイルス流行拡大によって大きく変化した働き方
2. 在宅勤務とテレワーク・リモートワークの違い
3.多様な働き方を求める人材の増加
4.アフターコロナ・ウィズコロナ時代の働き方はどう変わるのか
5.リモートワークで働くことに向いている職種
6.まとめ
1.コロナウイルス流行拡大によって大きく変化したライフスタイルと働き方
2019年以降コロナウイルスの流行拡大によって、私たちはライフスタイルの変化を余儀なくされています。それに付随して、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)の発達もあり、フレックスタイム制度や時差出勤制度をはじめ、リモートワークとして在宅勤務やオンライン会議システムの導入など働く場所を問わないという働き方に大きく変化しました。業務の都合上フルリモートまではいかずとも、部分的に業務がリモートで働けるようになったという方も多いのではないでしょうか。
企業の働き方改革の拡がりにより徐々に定着し始めているリモートワーク・在宅勤務ですが、メリットデメリットがあるのも事実です。メリットデメリットを考えながら今後のリモートワークがどのように変化していくのかについて考察します。
【リモートワークのメリット】
- 時間的制約が少なくなった
- ライフワークバランスが取れるようになった
- 静かな環境で作業できるようになったため作業効率が上がった
- 満員電車など通勤時のストレスがなくなった
- 飲み会やランチでの出費がなくなった
【リモートワークのデメリット】
- チームメンバーやクライアントとのコミュニケーションがとりにくくなった
- 情報セキュリティに課題を感じる
- 同一の空間で過ごすため仕事と日常生活の切り分けが難しい
- 自宅にいる時間が長いため水道光熱費の上昇
- 通勤がないことにより運動不足・ストレス発散が難しい
メリットとデメリットをいくつか挙げさせていただきましたが、メリットデメリットは両面性を持っているため一概に良い悪いが言えない部分があります。多くの場合、出勤時間などの時間的制約が少なくなった分、家事育児や趣味の時間など余暇の時間を充実させることが出来るという「自由に使える時間が増えた」ことをメリットに挙げることが多いでしょう。
一方で、リモートワークの為、対面で行う直接のコミュニケーション機会が減っているのも事実です。コミュニケーション自体が減ることでの直接的なデメリットはあまりないかもしれませんが、オフィスで業務にあたっていた時のように気軽に話しかけることが出来ないためコミュニケーションが少なくなり業務が円滑に進まない等の理由でコミュニケーションの減少をデメリットとして捉える方が多いようです。
企業側としても、リモートワーク体制を整える形でコストがかかっている部分もありながらリモートワークを推進することにより利用者が少ないオフィスの一部を返却したり、都心から少し離れた場所にオフィスを移転するなどオフィスに関する固定費の削減や社員の交通費の減少、オフィスに縛られないことによる多様な人材の確保などメリットが現れています。しかしそのメリットの反面で勤務実態の把握が難しいことや社員研修の新たな検討、社員同士の直接のコミュニケーションが出来ないため、社員の精神的なフォローアップなどの課題も残されています。
一部デメリットもありますが、リモートワークが推進されたことにより企業側にもある一定のメリットがあったと言えるでしょう。
2.テレワークとリモートワーク、在宅勤務の違い
在宅勤務やリモートワークという言葉が、働き方改革が進むことによって多用されるようになりました。しかし、テレワークやリモートワーク、在宅勤務など似たような言葉が多くそれぞれどのような制度を指すのか区別が難しくなってきていると感じている人も多いのではないでしょうか?もう一度改めて言葉の意味やそれぞれの違いについて触れたいと思います。
テレワークとリモートワークを比較すると、この二つはほぼ同義の言葉として使われています。テレワークはtele(離れた)とwork(働く)を組み合わせ作られた造語であり、一方のリモートワークはremote(遠隔・遠い)とwork(働く)なので、どちらもオフィスとは違う場所で働くということを意味しています。
その中で、自宅で働くことを在宅勤務として指しています。リモートワーク(テレワーク)の働く場所の選択肢として自宅ではなくシェアオフィスの利用などを推進している企業もあります。シェアオフィスは拡大をしている業態の一つで、駅で利用が出来る一人用のボックス型シェアオフィスやターミナル駅にビルを建て一棟をそのままシェアオフィスにしている例もあります。
シェアオフィス利用の背景として、リモートワークのメリットデメリットでも挙げた「仕事と日常生活の切り分けが難しい」などの課題をクリアするためにシェアオフィスの利用も推進していたり、在宅勤務をしていると時間の区切りが難しいため働きすぎてしまう人もいるため在宅でもシェアオフィスでも両方利用できる体制を整えている企業も存在します。
3.変化の中で多様な働き方を求める人材が急増
コロナウイルスの感染拡大を背景とした急激な社会の変化に伴い、働き方の変化とそのメリットデメリットからリモートワークの言葉の定義について触れました。働き方が変化していく中で、働き手の価値観も多様に変化しています。
例えば時間にとらわれずに働くフレックスタイム制度を利用し、コロナウイルス感染拡大前は母親が担っていた保育園の送り迎えを夫婦で分担したり、リモートワーク制度を活用し趣味であるサーフィンを日々楽しむことが出来るように海の近くに移住するなど、オフィスの場所や出勤時間の制限がなくなることで働く人それぞれの価値観を大切にした働き方が実現できるようになったのです。
企業側としても、リモートワーク制度やフレックスタイム制度など働き手の様々な価値観を尊重できる勤務制度を整備しなければ、企業の拡大を担う優秀な人材を採用することが難しくなってきている現状があります。特にマーケティング領域やシステム関連領域などのデスクワークを中心とした業務の場合、リモートで働くことが出来る職種も多いためリモート勤務を希望する方も多いでしょう。企業としては優秀な人材を確保したいと考えていますので、今後も働き方に関する新たな制度が生まれ優秀な人材がより活躍できるように制度の利用推進がされていくでしょう。
4.コロナ終息後の働き方はどのように変化していくのか
では、コロナウイルス終息後の働き方はどのように変わっていくのでしょうか。いずれコロナウイルスの感染拡大が収まり、アフターコロナ・ウィズコロナ時代に突入することとなりますが働き方や暮らし方はコロナウイルスの感染拡大前の前の状態に完全に戻ることはないと考えられます。
先ほど記載したように多くの企業が働き方改革を実施し、テレワークの導入や時差出勤などの制度を整えました。制度整備のためにはコストがかかっており、一度導入したものを無くすというのは従業員・企業側共に負担であると考えられるためです。
このことからもアフターコロナ・ウィズコロナ時代は感染拡大前の状態に完全に戻ることはないということを前提として働き方や生き方を考えていく必要があります。
在宅・リモートで働くことを前提とした、住まい作りや生活スタイルの確立が必要になってくるでしょう。在宅勤務でも集中できる環境づくりや、日常生活で運動習慣を身に着けるなど、オフィスに出社せずとも仕事で最大のパフォーマンスを出すことが出来る環境を自分で作っておくということもリモートワークを続ける上では意識していきたい考え方です。
5.在宅勤務で働くことに向いている職種
ここまで、アフターコロナ・ウィズコロナ時代の働き方やリモートワークでの業務について考えてきました。今後もリモートワークでの業務が一定期間続くと考えられますが、どのような業界・職種がリモートワーク・在宅勤務に向いているのでしょうか。
- 成果が明確であること
- 評価がしやすいこと
- 現場に赴く必要がないこと
リモートワーク・在宅勤務を選択する上で、上記のような観点を持つ職種はリモートワーク・在宅勤務がしやすい職種と言えるでしょう。具体的には、WEB関連職(デザイナー・ディレクター・ライターなど)や企画・マーケティング・広報などの専門職、システムエンジニアIT系技術職などが挙げられます。内閣府の調査によれば、リモートワークがもっとも盛んな業界は情報通信業(IT業界)となっておりますのでリモートワーク・在宅勤務を希望する方はIT業界の仕事に目を向けてみるのも良いかもしれません。
しかし、リモートワーク・在宅勤務が出来る環境で必ずしも成果が発揮できる人ばかりではないということも注意しておかなければなりません。デメリットの部分で触れたように、リモートワーク・在宅勤務での業務はクライアントや他の社員とのコミュニケーションを図ることが難しいため、オンライン上でも自ら積極的にコミュニケーションを取っていくことが円滑に業務を進めていくうえで重要です。
6.まとめ
ここまで、リモートワークのメリットデメリットをはじめ、アフターコロナ・ウィズコロナ時代の働き方や在宅勤務・リモートワークに向いている職種について考えてきました。コロナウイルスの流行拡大によって、突如私たちのライフスタイルは大きく変わりました。それに伴い企業も働き方改革を進め、在宅勤務・リモートワークをはじめとした場所にとらわれない多様な働き方が拡大したと言えるでしょう。
働き方に様々な選択肢ができたように、働く人材の価値観も多様に変化しています。オフィスへの勤務が縮小し、通勤回数が減った結果余暇を楽しむために都心から離れたエリアに引っ越しをしたり、家族で過ごす時間を増やすために在宅勤務を選択する人もいるでしょう。在宅勤務のみでなく集中できるシェアオフィスを選ぶことももちろんできます。どの場所を選択するとしても、自らが一番パフォーマンスを発揮できる働き方を探す必要があるのがリモートワークのポイントだとも言えます。
最後に、アフターコロナ・ウィズコロナ時代の働き方としてとても大切になってくるのは「自分がどのような働き方を求め、どのように生活をしていきたいか」を明確にしておくことです。この軸が明確になっていることで、どのような仕事を選びどのような環境で働いていくかを導き出すことが出来るでしょう。